千葉勝浦その5 お茶の間で「きわめて印象的な少女」ら、と語らい
かつおを食べた後、そのまま「お茶の間ゲストハウス」の宿泊者、僕と夫婦とお手伝いの2人と、「お茶の間」でお話をした。
例のT氏が「最近、珈琲豆に凝っているんです」と持ってきた珈琲豆をみせてくれた。自分で煎っていることのこと。「食べてみたい」とお手伝いとしてきたらしい若い女子が言い出して「こんなの食べてもおいしくないですよ」と言うも、彼女はつまんだ。
「香り高い香ばしいチョコレートみたいでおいしい」という批評に、皆うなずいた。僕もつまんだけど「香り高い香ばしいチョコレートだ」という感想だった。
そして、さらにここで煎るとのこと。煎り器を持ち出してカセットボンベで煎りだした。
ひたすらにT氏はコーヒー豆の入ったものを振って振って振っていた。振り続けるのが趣味なのだろうか。火を熾すための板も凄かった。よくわからないけど、面白い人だということはよくわかった!
更に、謎だった「若い女子」の正体もわかった。この子は17歳の女子高生。もう少し大人かと思った。ここのオーナー夫人とお母様が知り合いらしい。今日はお手伝いとして来たとのこと。この翌日に実際にお手伝いもしていた。
この子はほんとうに変わった子だった。めんどうくさいので箇条書きをする。
- 高校は特殊な学校
- そこは、毎日行かなくてもいいところ
- でも毎日通っている
- 携帯電話は持っていない
- インターネットはいっさい見ない
- テレビは見ない
- 芸能界には興味ない
- 好きな有名人とかもいない
- もちろんスマートフォンも持ったことない
- TwitterもLINEも当然知らない
- 音楽も聞かない
- 本は「料理が好き」なので料理本を少し
- 専門学校に行きたいけど、学費のことで諦めるかもしれない
- アルバイトはしている
- アルバイトはスーパーのレジで、ふつうに仕事はしている感じ
- アルバイトの給料は使わずに全部貯めている
- お客さんには大人っぽいねーと言われたりする
- 友達は普通にいる
- 「友達と何の話をしているの」と聞かれると「何の話してるのかなんてよくわからない」と言われ、僕は至極納得!確かにそうだ…。
こんな子なんです。
みんなが、お茶の間で、話の合間にスマートフォンをいじりだし、僕も見たりしているとき、彼女はずっと、上の方を見たり、どこかを見たりしていました。「何をやっているの」と聞きたかったけど、何もしていない。それでいいんだな、と、思った。
こういうのが、本来の人間の姿なんだなーと。電車ではみんなずっとずっとスマートフォンを見ている、かろうじて5%くらいが本、あとは音楽を聴いて虚空を眺めているか。僕は後者です。
でも、こんな大人たちに囲まれても、全く動じない、強く自己主張をしたりしない。若さを強調したり、意識したり、することもなさそう。きわめて印象的な少女でした。
僕が「テレビとかインターネットとかクソばっかりだから見なくていいよ!」と言うと「クソ!!www」とクソにすごく反応していました。クソとか好きとか、そういう普通のところもあるんだなーなんて、思ったりした。
こういう旅っていいなあと、思いました。旅でのひとときになる、もしかしたら最後になるかもしれない、でも最後ではないかもしれない出会いというものは、本当に良いものだとしみじみ、しみじみです。
続く