おじさんぼっちでローマの休日8 フィレンツェ天ぷらそば味:前編
フィレンツェ・カンポなんとか
今日はフィレンツェ に日帰りする。ひとまずローマの中心駅テルミニ駅を目指す。
アパートを出たのは朝の7時くらい。外はまだまだ夜中のように暗い。
近くの駐車場から変な声が聞こえると思ったら、誰かが壮大に何かを吐いている声が聞こえた。
別に見たくないので、足早に去ったがなんだか雰囲気がよくない。
噂に聞いていたが、ローマの街は汚い。町並みは美しいが清潔ではない。不法投棄されたようなゴミがそこらへんに落ちているし、イタリア人の喫煙マナーは最悪。建物の中で吸わない代わりに、外だとどこでも吸って良いと思っているらしく、子供を連れた母親が歩きタバコをしていたり、吸殻もその辺に平気で捨てる。中国人に著作権という概念が無いように、イタリア人にはタバコのマナーという概念が無いんだと思う。
東京の街並みは酷いとい言われるが、清潔度では世界トップクラスなのは間違いない。街並みが良いのと街が清潔、住むとしたらどちらが素晴らしいかということになる。どちらがも良いのが一番いいのは勿論だけれども、どちらもとなるとなかなか難しいのかもしれない。
トラムが暗闇の中から現れた。朝は寒くて辛かったけど、すぐにトラムが来て、バスもすぐに接続していて、待たずに乗れた。コロッセオの横を通って、ベネチア広場を通る。
ゴミは多いけど、明け方のローマはやっぱり素敵である。特にベネチア広場にある「ヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂」これはかっこいい!
この日以降はバスを多用したのだけれども、どの路線でもこのベネチア広場を通って、朝昼夕、この場所はいつ通っても絵になっていた。完全にヴィジュアル系!「ヴィットリオ・エマヌエーレ」とか名前もヴィジュアル系!!!バスでしか見ていないので写真が無い。ので下の写真はwikipedia様からお借りしました><
ヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂。完全にV系。
テルミニ駅で、駅の自動切符売場で切符を買う。画面を英語に変えて買うこともできる。凄く簡単に券が買えた。席も選べて、カードも使えた。
ちなみにユーロスターでも切符を買ったあと時刻を打刻しなければならない。変なの!決まった便の決まった席の切符があるのに、なぜわざわざ打刻するのか。ちなみに車内検札もあった。やっぱり意味がわからない。
ユーロスターの車内。向かい合った席を取ったつもりはなかったのだけれど。販売機で指定した席と違うような気がする。まあそんなこともあるか。ちなみにかなり空いていた。なぜこんなにも空いているのか、この後判明した。
美しい車窓の風景。
ローマ、フィレンツェ間はのどかな風景が続いて、トンネルも多かった。
広大な畑の中にある農家の掘っ建て小屋も、西洋絵画でみたような土壁の可愛い感じのもので、ああヨーロッパだと改めて認識する。
今回はほとんど街ばっかりで、田舎にはほとんど行かないので少し後悔する。田舎に行ってこそその国がわかるという言葉をどこかで聞いたが、その通りだと思う。
電車の中でフィレンツェの地図を見ていてあることに気づいた。自分の買ったキップとこの電車の行き先は、フィレンツェの中央駅である「フィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅」ではなく、その2つ手前の「フィレンツェ・カンポ・ディ・マルテ駅」までだった。「フィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅」には止まらず、そのまま違う地方都市まで行くので、「フィレンツェ・カンポ・ディ・マルテ駅」で降りなければならない。だから空いてたのか!と考えてみる。
ただし「フィレンツェ・カンポ・ディ・マルテ駅」と「フィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅」は地図で見る限りそれほど離れておらず、1日ブラブラすることを前提に考えれば、別に歩ける距離だ。西浦和と北浦和くらいの距離感。
※一番左がフィレンツェ中央駅で一番右がカンポ駅。
あーミスったけど別にいっかーと思いフィレンツェカンポなんとか駅で降りた。
カンポ駅は犬の(と信じたい)ウンティがもりもりと至るところにあって、史上最悪の汚らしい駅だった。仮にもフィレンツェなのに。
成田空港のTSUTAYAで見かけたオサレ女性雑誌の表紙にあった「フィレンツェで美を極める」みたいなコピーを思い出して吹き出しそうになる。ウンティだらけだよ!
フィレンツェ中心部へと歩をすすめる。あ、またウンティ!
僕はイライラしていた。
何故ならば大分寒い!かなり寒い!
ローマが春の陽気だったので油断していた。冷たい空気が石畳から吹き出して襲ってくる気がする。
後で調べたら、フィレンツェとローマの気候の差はそれほどなく、なぜかこの日だけ特別寒かったみたいだ。
フードの付いた服を来ていたので、寒さを避けるために頭にかぶる。が、もともとタイトめのサイズなので、ちょっときついし、ガラスに映った自分の姿は完全に不審者に見える。異国で通報されたくないので、フードを被るのは止めた。
フィレンツェの街を見下ろせる丘の上にある「ミケランジェロ広場」に行こうと思った。しかし、上の写真、左側の山の上がそこなのだが、霧につつまれていた。このままがんばってそこまで行っても徒労で終わる可能性が大きいと判断して、行かないことにした。
フィレンツェ・天ぷら
中心部に向かって歩く。だんだん街がフィレンツェっぽくなってきた。
それと同時にウンティも見なくなってきた。ちゃっかりしてるよね。
明らかにオシャレ度が高くなってきた。やっぱりフィレンツェは美の街・・・
「アタシ…フィレンツェで綺麗になる!」気分はOLだった。
心が晴れてくると同時に空も晴れてきた。
そして大聖堂(ドゥオモ)に付いた。
なんだこの青空は。もしかしたら、あの丘を登り切ったら、見事に霧が晴れて「あれ・・・?自分が来た途端、霧が晴れて見事の景色が・・・」みたいな展開が待っていたんじゃないか、自分は損したんじゃないか、と一瞬考えた。
まあいいかと損とか考えても仕方ないと思い、聖堂の中に入ってみた。
アパート近くのサンタ・マリア・トラステヴェレ教会よりはシンプルだが、規模は大きく、現役の教会としての威厳はさすがだった。
少し疲れたので、美しい教会を見つつ「聖堂ったら薔薇の聖堂じゃね????」と思い、iPodでMALICE MIZERの『薔薇の聖堂」を聴いていた。
永遠の刻…告げるレクイエム…ここは甘美な…約束の場所…フフフ…
信者でもないのに、公共の宗教施設を私的な感情でこれ以上利用するのはどうかと自分自身に疑問が湧いてきたので、去ることにした。
フィレンツェの街は大きな通りが無く、その分雰囲気がある。物の運搬はどのようにしているのだろうか。おかげで車も通らないので安全に歩ける。
ドゥオモの前からは道沿いに大量の露天の店が出ていた。売っているものはおみやげや、服や手袋。観光客用の店だ。例の如く皆同じものを売っている。なので見ない。
露天街の中に「フィレンツェ中央市場」があったので、入った。とにかく寒かったので何かスープ的なものが飲みたかった。観光客でも食べられそうな店がいくつかあるとのこと。でも本当は天ぷらそばが食べたかった。あまり海外で日本食を食べたいとか思わないタイプなんだけど、寒さのためなのか、天ぷらそばが徐々に頭を支配しはじめた。
ひと通り見て回った。肉屋に八百屋などひと通りあって、あくまで地元の人のための市場という感じ。勿論天ぷらそばは無い。
小さな店でソーセージを進める女性の店員さんがいたので、手に取って頂いた。メニューをみたらSoupナンターラと書いてあるメニューがあった。指さしてスープ?と聞くと「スープナンターラ」と言ってきたので「あースープ ペルファボーレ!」(スープください)と注文した。
たぶんミネストローネ的なものだと思う。あゝ温かい!そして野菜の旨味が濃厚で美味しい!冷えた身体があったまる。パンを付けて食べる。天ぷらそばじゃなくても大丈夫だ!
機嫌がよくなったので、行く予定になかった「メディチ家の礼拝堂」に行くことにした。
ここ以外の美しいミケランジェロの作品や、教会は撮影禁止だった!
メディチ家はフィレンツェを支配した超金持ちの名門で、ルネサンス期に多くの芸術家のパトロンとなり、美術の発展を支えた。
18世紀を最後に断絶してしまったが、今でもフィレンツェの至る所にその跡と芸術作品を残している。そして…私も…
そう私はメディチ家の末裔…断絶した血を引く…隠された、或るいは「呪われた」血族…この街、ああ私のフィレンツェ。大いなるトスカーナ、この街のどこかに私の一部分が埋まっている。それはメディチの分身である「最期のモザイク」と呼ばれる記憶の欠片…なんて妄想しながら美しい教会や礼拝堂を見て歩いた。楽しそうでしょ?皆さんもぜひやってみてください!
ミケランジェロの作品や、著名な作品が至るところにあり、やはり来てよかったと思った。
生で見るダビデ像凄すぎ
フィレンツェの見どころといったら「アカデミア美術館」と「ウフッツィ美術館」である。なぜかとかいうと、それは自分でぐぐってください!あんまりこの辺りの美術に明るくないんです。正直に言うと、どこかに↑の2つが見どころですよ!って書いてあったのであ~そうなんだと思って、日本からネットで予約しました!そう私はミーハー!メディチ家の末裔も落ちぶれたものだ・・(まだ妄想中)
というわけでアカデミア美術館の予約の時間になったのでテクテクあるいていった。「アカデミア」という名前だけあって、そもそも大学の美術館なんですね。来るまで知らなかった><
まだ少し時間があったので、近くのBARに入って、「かっぷちーの、ペルファボーレ」と言ってみた。イタリアで飲むカプチーノはやっぱりうまい。昔、池袋の怪しい喫茶店でアルバイトしてた時のカプチーノを思い出す。普通のコーヒーに、生クリームを入れて、シナモンスティックをさして、最後にオレンジパウダーをかける。これが「カプチーノ」だ。今でもあんなニセモノカプチーノをあの店は出しているのであろうか。
ちなみに、席に座って飲むのと、立って飲むのでは値段がかなり違う。なので、イタリア人はみんな立ち飲みをする。椅子に自由に座れて値段も変わらないような店(テルミニ駅の地下)もあったのだが、そこでも皆立って飲んでいた。もう習慣になっているのだろう。
オフシーズンのフィレンツェだが、アカデミア美術館はやっぱり行列ができていた。予約をしていたので、すぐに入れた。ちなみに中は撮影禁止。日本人や韓国人や台湾香港人はツアーで来ていたり、旅行ガイドを読み込んでいるのでたいていは撮影禁止を認識しているが、他の国の人はそんな事知るかとばかりに写真を撮ろうとして怒られていた。でも、入場の時に何も言われなかったし、表示も分かりづらい。もっとアピールしないと気づかれないと思う。
ミケランジェロのいくつかの作品が置いてある通路の奥の行き止まり、光が差し込むドームの下にデーンとダビデ像があるのだが、思ったより全然サイズが大きい。そして単純にカッコイイ!
思えばこれが石から出来た彫刻だなんて、考えたこともなかった。身体の線や質感は、彫刻というものを超えている気がする。これほどに素晴らしい立体の芸術を見たことがないとも言える。単に有名な作品だから有名だからでなくて、物凄いから有名なのだ。
圧倒されて、周りの椅子に座ってしばらく見ていた。やって来る人を見ていると、皆が作品に圧倒されているのが伝わってくる。
また、レア?な後ろ側も見てみたりしていた。いやほんと凄い。来てよかった。芸術って素晴らしい。ミケランジェロは本当に天才だ!
アカデミア美術館の企画展?なのかはわからないけど楽器の博物館的なものがあった。古楽器や、チェンバロ、ピアノの原型になったフォルテピアノなど、貴重なものが生で見ることが出来て楽しかった。やっぱりイタリアは芸術の国…
次は「ウフッツィ美術館」に行く。まだ少し時間があるのでウロウロした。(続く)