さわやかトラウマ一人旅日記

音楽が好きな30代男がぼっちを極めるため、世界や国内をヤケクソ気味に一人旅をしたその記録です!

おじさんぼっちでローマの休日~イスタンブール編2 アジアの妖しさとヨーロッパの退廃

突然ですけど、イスタンブールって凄くないですか?

「凄い」街って沢山あるんですけど、それは個人的な体験に基づくものであったり、主観で変わってきたりすると思うのですが、そういうの抜きにしてイスタンブールは凄い。

何が凄いって地図を見てくださいよ

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この地図はイスタンブールの自治体の地図なんだけど

黒海エーゲ海へやがて繋がるマルマラ海の海峡を挟んで、左側(ブルガリア方面)が「ヨーロッパ地域」で右側(イラン、シリア方面)が「アジア地域」ですよ

1つの国の中でそんな状態なのも珍しい(トルコ自体がそう)のに、1つの自治体の中でヨーロッパとアジアで分かれてるんですよ!凄い!ありえない!

そんな変な都市は世界でも滅多に無いですよね!?地図好きなので、こういうのを見るだけでテンションがあがります。

実際、国際的な区分としてはトルコって「ヨーロッパ」なんですよね。EUへの加入も目指しているとか。でもトルコはイスラム圏だし、トルコ人とか、トルコの文化、トルコの料理っていうと「アジア」としてのイメージが強いんですよね。不思議な国。おじさんそういうの大好きです!

 

ヨーロッパのダーク(笑)とアジアのゴシック(笑)

ホテルについた。観光に便利そうなスルタンアフメット地区。「旧市街」というくくりでホテルの近くには明日行く予定の「ブルー・モスク」「トプカプ宮殿」「アヤ・ソフィア」があり、この3つはそれぞれとても近い。

この辺りに泊まるのが(口コミ情報を見る限り)観光客の定番らしい。僕が泊まったのはトラムの駅からもすぐ近くの「Hotel Yasmak Sultan」というところに泊まった。

HPからは大きなホテルなのかな?と思ったけど実際は中くらいのサイズのホテルといった印象。まあまあちゃんとしていた。

予約時点では「クイーンサイズのベッド」で予約していた筈だがアサインされた部屋はツインベットだった。シングルサイズのベッドで超小さい!文句言おうかと思ったけど1泊だけだしめんどくさいと思考停止してしまった。部屋はラブホみたいだった(笑)

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時刻はもう20時近くになっていた。この街を出るのは明日の夕方。時間が無い。

さっさと外に出ることにした。

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 いきなり裏道へ入ってしまい、人の気配が無くて少し怖くなった。久しぶりのヨーロッパ。ドイツに行って以来2度目。やはり建物がひとつひとつ違う、街並みが美しい。

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トルコはヨーロッパだけど、勝手にアジアのイメージを抱いていた。僕の行ったアジアの街はどこへ行っても同じような風景だった。味気ないコンクリートの建物、色とりどりの看板、アスファルトの道路。目の前の風景はどこをどう捉えてもヨーロッパだった。トルコはヨーロッパなんだ。当たり前の事を今更認識する。

 

1月1日だからなのか観光客の姿はあるが、殆どの店は閉じていてひっそりしていた。旧市街には「オールドマーケット」というところがあり、随分賑わっているらしい。なんとなく地図を見る気がせず、そのうち着くだろうとブラブラしていたのだが、着かなかった。

そういえばイスタンブールについて、リサーチした時に眞鍋かをりイスタンブールに何故か一人旅をして「オールドマーケットは観光客向けって感じで、日本語で声かけられたりしてイマイチだった」と書いてあったのを思い出した。さっきからちょこちょこ「コンニチハ ジュウタン ヤスイ」などと声かけられている。これ以上はいいや、と思い、もう1箇所行って見たかった盛り場の「タクシム」に行くことにした。

こちらは新市街と呼ばれているところで地元の人で賑わっているらしい。

 

トラム終点の「カバタシュ」から、ケーブルで引っ張るロープウェーみたいな変な乗り物で移動して、「タクシム」に着く。

「タクシム広場」からまたトラムが出ていて、その線路沿いにある通りを歩く。

どことなくひっそりとしていた旧市街と比較して凄い人の数!

まっすぐの通りは車道は無く、人で埋め尽くされている。道沿いには日本にもあるチェーン店のファッションのお店から、飲食店、その他色々な店がひっきりなしにあり2kmくらいは続いているのではないだろうか。

 

観光客らしい人より圧倒的に地元の人が多くて、来た甲斐があったと思った。せっかくなら観光客ばかりのところには行きたくないと思うのが人の常ですよね(自分だって観光客なのに)。

祭りが今日あってそれで人が集まっているんじゃないかと思った。

「渋谷に初めて来た時祭があるんじゃないかと思った」という話を聞いたことがあるが、まさにそれだった。ちなみに別に何にもないみたいだった。たぶん休日だったってのもある。

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日本には無いファストファッションの店をひやかしたり、ヨーロッパ的な装飾が施された美しいレストランが何故かオープンになっていたりしたのでひやかしたりした。

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表通りはひと通り堪能したので、通りからの路地裏に入ってみることにした。

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魚料理がメインの店が沢山ある通り。英語で客引きなんかもやっている。レストランの装飾やメニューの内容もアジアのような、ヨーロッパのようなという感じで面白い。

そこから更に路地裏に入る。道端に低く丸い椅子を置かれ、抑えられた照明の変わりにテーブルには蝋燭の炎がゆらめいていた。人々はそこに座り、ビールを飲んでいたり、シーシャ(水タバコ)を楽しんでいたり。そんな店が何軒も続いていた。暗闇の中からキラキラ光った瞳が見える。とても妖しい雰囲気。写真なんて撮れない。自分も座って妖しい雰囲気を楽しんでみようと思ったが、気後れしてしまって、通りすぎただけだった。ああ馬鹿。

 

面白かったので、メイン通りから路地裏の細い通りへいくつか入って歩いてみた。

ヨーロッパの建物に、何があるのかわからない、怪しげな店達。入ったら二度と出てこれなさそうな「CLUB」も沢山。後でわかったのだが、ちゃんとした「クラブ」カルチャーも盛んらしい。

電球が照らす茶色に、いつからあるのかわからないような古い美しい建物はよく似合う。それと同時に路地裏は電球色にアジアらしい色とりどりの照明を持つ店が並んでいて、チグハグな感じがとても楽しい。

この妖しさはヨーロッパには出せない。アジアならではの底なし沼の恐怖と快楽が同居するような雰囲気。

「この街は凄い!」と改めて思った。地図を見るだけでも凄いにのに、実際に立ってみてもそう思うことができた。

「アジアの妖しさとヨーロッパの退廃が、結合している!」

自分のイメージしている「魔都」に近いところが見つかったと思った。今まではバンコクだったのだ。しかし「魔」はできるだけ、品があって、美しいものでなければならないという自分の中のイメージにあった。バンコクにはヨーロッパの気品や美しさは、もちろん無い。

明日この街を立つという事実に悲しくなった。できることならこの街だけでも(もちろんトルコも含めてに)もっと滞在したいと思った。今度はあの妖しい通りで、蝋燭の炎を見ながら自分もシーシャを楽しんだりしたい。できれば「沈没」してみたい。

イスタンブールの夜は、とにかく妖しくて、美しくて、今までに体験したことが無い気分を味わえた。