さわやかトラウマ一人旅日記

音楽が好きな30代男がぼっちを極めるため、世界や国内をヤケクソ気味に一人旅をしたその記録です!

北海道逃避行2013 その16 ロスト・イン・富良野

落とした

無い!財布が無い!

その瞬間にピーンと来た。なんだかわからないけど、三十うん年間ダメ人間として過ごしてきた自分だからこその勘が働いた。

財布が無い。しかしバスに戻っても無いだろう。どこかに落とした!

そう思った。

でもそんな勘は信じたくなかった。お店の親切なお姉さんに説明して、一旦バスに戻った。やっぱり無かった。勘は当たっていたのだ。

バスの中では運転手さんが歓談していた。怪訝そうに僕を見る。「どうしました?」「あのー…財布を無くしてしまって」嫌な空気が流れる。当然だ。

「たぶん前のホテルのところで落としたと思うんですよね。財布を使ったのはそこで最後だったので…」

そう。財布からお金を出して使ったのは…、ロープウェイで頂上に登ってそこで自動販売機からスポーツドリンクを買った。そこが最後だった。

「とりあえず連絡先知ってるんで、電話してみたらいかがですか」番号を教えてくれたので電話する。ロープウェイの担当の人に繋いでくれてとりあえず探してみるとのこと。お礼を言ってしばらく待ってみる。

バスから降りてしばらく待つ。美しいラベンダー畑。眼には入るが頭に入ってこない。

そういえば今まで旅でトラブルがあったとしても財布を落としたのは初めてだった。いろいろどん臭い人間だけど、意外とこういう展開は無かった。もし見つからなかったら…

しばらくすると電話がかかって来た。自動販売機周辺を見てみたが財布は無かったとのこと。だったら自分で探すしか無い。もし来たら料金はいらないから通してあげますよとのことなので向かうことにする。といっても一文無し…。

バスに戻るとバスガイドさんがいて、事の成り行きを告げてツアー離脱すると告げると、戸惑った様子でキャンセル料は無いとか、大丈夫ですかなどと声を掛けてくれる。まあどうしようもないので、とりあえずお騒がせしました、お手数おかけしましたと言ってバスを出た。iPhoneで新富良野プリンスホテルの場所を調べる

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その距離13.5km 歩くと3時間かかるらしい>< 

まだ14時くらいとはいえ、まともに歩いて着いたら17時になる。ロープウェイはもう終わる時間かもしれない。焦る。どうしよう。

地図で見てわかるように、近くに「ラベンダー畑」という富良野線のJRの駅があった。これでホテル最寄りの駅まで行ってそこからホテルまで歩く…送迎のバス等は無いみたい。しかし一文無し!どうしよう。カバンを漁ってみる。ごちゃごちゃとした小物の中に光る物体が…100円玉3個と10円玉や1円玉がゴミのようにその中には入っていた。やった!

いや〜日頃のだらしなさがこういう所で役立つなんて。ラベンダー畑から富良野駅まで運賃は210円。とりあえず行ってみよう。

ラベンダー畑駅は臨時駅らしく全く本数が無かった。人がうじゃうじゃいたが皆この後10分後に来る旭川方面行きの電車を待っている人達だった。隣の「中富良野駅」まで歩く事にする。15分くらい。

財布は果たしてあるのか無いのか。無かったらどうしよう。本当に一文無し。こういう場合はどうしたらいいのか。わからない。警察に行くか?ちょうどこの時、道で追突事故があったらしく警察の人がいた。とりあえず富良野駅に行ってからでいいか。

富良野駅に着いて電車の時刻を確認する。ちょうどすぐに富良野行きの電車が来る。中富良野駅に常駐しているらしい観光協会の方が親切に声を掛けてくれる。「富良野は楽しまれましたか?」と聞かれた。苦々しい表情で「…これからです」と言ってみる。

…これからどうなるのか。

 

急転直下

電車に乗った。ここから2駅。車窓はまさしく富良野といった風景で美しかったが、写真を撮ったりする余裕もなかった。はあ、どうして…と自虐モードになった時に電話がなった。

マナー違反とはわかりつつも緊急事態なので、端の方に言って電話を取る。プリンスホテルの方だった。なんと財布があった!!!!とのこと。自動販売機では無く、外の花のところにあったとのこと。

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ここだ!

 

「全身の力が抜ける」とはまさにこのこと。よかったよかったよかった。では伺います!お礼を言って電話を切る。なんだ、よかった。しかしこの事で目が覚めた。帰ろう。旅行はもう終わりにしよう。ちょうど一つ東京に用事を思い出した。今日、富良野に1泊して、その次の日は旭川に泊まって、その次の日に帰ろう。電車の中で僕は考えた。

 

富良野駅に着いた。やっぱり新富良野プリンスホテルに行くバスは無いらしい。財布が見つかったのだから、タクシーの運転手さんに事情を話せば行ってくれるかも。ダメもとで話してみよう。駅前のタクシーに乗り込んで交渉する。運転手さんはわりと若めでシャイな感じの人。財布があったのならいいですよと何の事は無しにOKになった。よかった!

「この後はどうされるんですか」と聞かれる。そういえばそうだ。泊まるところは…とりあえず「楽天トラベル」で探してみる。明日旭川に行くんだったら行く前に美瑛でサイクリングなんていいんじゃないですか、なんて提案してくれる。ありがたく翌日はその通りにした。

 

駅からホテルはとてもじゃないけど歩ける距離じゃなくて、財布が見つからなかったらどうなっていたんだろうと怖くなった。ロープウェイ乗り場に行くと親切な係の方が財布を渡してくれた。丁重にお礼を言う。もう一度タクシーに戻り駅へ戻る。タクシーの運転手さんにお礼を言う。いやいやそんな自分はいいんですよと言っていた。

はあ、疲れた。とりあえず…ファーム富田へ戻り「旅行のやり直し」をする事にした。

駅でもう一度、来た道を今度は逆に向かう。

海外に行く場合は首から掛ける財布とポケットの中とカバンと複数箇所に分けて持ったりなど色々とリスク管理はしているのだけれど、国内なので完全に油断していた。気をつけなければ。本当に焦った。

 

続く