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さわやかトラウマ一人旅日記

音楽が好きな30代男がぼっちを極めるため、世界や国内をヤケクソ気味に一人旅をしたその記録です!

北海道逃避行2013 その3 人工楽園モエレ沼公園

2013北海道 札幌・小樽

 憧れの場所

もうどのくらい前に行ったのかは忘れてしまったが、東京都現代美術館イサム・ノグチ展があり、友人に誘われて行ってそれなりに感動したのだが、その時に「札幌にイサム・ノグチが設計したモエレ沼公園というのがある」というのを知った。

写真やHPで見て「うわ〜行ってみたい」と思っていたのだが、札幌に行く機会が無かったため、ずっと思っているだけだった。

札幌に行くと決まった時に何より先にここに行くことは決めていた。というわけでパコホテルで朝飯、朝風呂を決めて万全の状態でモエレ沼公園に向かった。

最寄りの地下鉄の駅からバスで25分ほどかかって、公園の入り口まで着いた。

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帰りのバスの時間を見ていると、同じバスに乗っていた中年の女性が、「大きな噴水があってそれが凄いんですよ!私はテレビをそれを観て、生で見たくてここに来たんです。確かもうすぐ始まる時間なんですよ」と教えてくれた。

そういえば海の噴水というのがあった。ちょうどその時間に来れたなんてラッキー!

園内は広いということでさっそくレンタサイクルを借りる。料金はとっても安くて2時間200円。返す時に2時間超えてしまったけど、優しいおじさんが「いいよいいよ」と見逃してくれた。北海道いいところ!

 

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遠くに見えるのは、この公園の一つの象徴である「ガラスのピラミッド」

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少し見つつ、早速「海の噴水」の時間が近づいていたので、そちらに移動する。森に囲まれた中に巨大な噴水とおぼしき空間がある。

 

海の噴水

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その大きさは親子の方や木との遠近法でご理解いただけるだろうか。

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海の噴水はなんと40分の大作!ただし長さは感じませんでした。

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レスピーギの交響詩「ローマの噴水」の第2楽章「朝のトリトンの噴水」がスピーカーから流れ初めて噴水スタート!最初は最大25メートルにも及ぶ大きな「ビッグワン」まさに水の彫刻!

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その次は海の波を表現した「ビッグウェーブ」

写真だと迫力が伝わらないのですが、円の中を徐々に波が荒れ狂い、円の周りに海とそして波が形成されていきます。蠢く波を眺めていると、その動きに生命を感じます。たまーに波が葛飾北斎の有名な「富嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏」を彷彿とさせる形になりました。ドビュッシーの交響詩「海」のインスピレーションにもなった、海の絵…。

この「ビッグウェーブ」が一番長かったですが、ずっと眺めているとそのループが心地よくあっという間に時間が過ぎていきました。

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ビッグウェーブは止み、穏やかになると水は引いていき、続いては細やかな「フォグ」へ。

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最後はフォグと合さって「アーチ噴射」でラスト。これまた写真だと迫力が伝わらないのですが…。見事で圧倒されました。いやー素晴らしいですね。もしかしたら見逃していたかもしれないので、バスで一緒になった女性は感謝感謝です。

ちなみに終演を告げるテープでは、同じく交響詩「ローマの噴水」の第4楽章が流れてました!センスいいですね♪

 

プレイ・マウンテン

海の噴水を見終わった後はとりあえず園内を自転車で散策しました。

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思った以上に園内は広大で、そして整然として、思っていたとおり「不自然」さも感じました。ここはゴミの埋立地。人間の生きていた結果にもたされた物の上に建てられた人工的なもの。自然をモチーフとして、設計されたものは単なるごまかしではない、独特な空間。とても面白いし、こんな所は他に無いと思う。

 

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 公園のハイライトの1つ「プレイマウンテン」

小高い丘へ通じる道。その曲線。この着想は公園の話が出るかなり前の1933年にはイサム・ノグチの中にあり、「遊び山」として表現された。それから長い時を経て、ここに表現された。しかし彼は完成された実物を見る前に亡くなってしまった。

「プレイマウンテン」という概念は彼の創作にとって、重要なモチーフだった。具現化されたものを見る前に無くなった、と言うことは創作家にとって、皮肉ともいえるが、もしかしたらそれでよかったのもかもしれないとも考えながら、坂道をゆっくり登った。

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プレイマウンテンの頂上から。見えるのはもう1つの頂点「モエレ山」結構高くて、登るのは諦めた><

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この円形の森の中に先ほどの「海の噴水」がある。この見事な統制された自然!

自然が不自然に利用されて、それが美しい!素敵な空間だと思う。

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こんな感じで、イサム・ノグチデザインの遊具が至るところに置いてある。野ざらしなので仕方が無いけれど、あまりメンテンナスされているとはいえず、ところどころ痛みが激しくて寂れた印象を受ける。なんとかならないものだろうか。

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ガラスのピラミッド内には、イサム・ノグチの資料館や、その他展示やイベントスペースなどがある。結婚式用の撮影なのか、衣装を着たカップルが撮影をしていた。幸せそうでとにかく疎ましい(笑)見難い現実である自分を見せつけて嫌がらせしてやろうと思い、撮影を来にせず見学に集中した。ごめんなさい…w

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特に面白いと思ったのが、エレベーター。これももちろんガラス。全4階しか無いので短いが、乗ると宙に浮いているような感じになる。高所恐怖症の人は辛いかも!

イサム・ノグチの資料館は、生涯に関して説明したパネルや、雑誌のコピー、写真集やその翻訳など。全く興味無さそうな学生達が流れで入ってきて、作品に寝転がったり、知り合いの弟が最近どうのこうのなどおしゃべりをしながらダラダラしていたら、中の人のお姉さんに怒られていた。札幌の学生の知的レベルが心配…。

 

 

過去から逃げても追ってくる

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何事も美しいだけでは済まされないのがこの世の中。

モエレ沼公園をひと通り歩いて、気づいたこと。とてもとてもカラスが多い!!!

カラス天国の東京新宿区からやってきた自分がそう思うのだから、間違いないだろう。ここまで広大で芝生が広がる公園は都内には無いけれども、常に大量のカラスがここにはいて、「海の噴水」では観客の荷物が襲われていたりした。

園内は清潔で、ゴミもない。何故こんなに奴らはいるのか?

カラスが地面に向かって啄む所を見た。この場所が過去、カラスの好物そうなゴミの埋め立て地だということが関連しているのか?

今は美しい芝生と木とオブジェで統制されたもので表面が覆われたこの公園、しかしカラスにとってはお宝のゴミへの入り口である事は変わらないのか?もうかなり前の話なのに。動物の本能がそうさせるのだろうか。

しかし、不自然ともいえるこの「彫刻」である公園とカラスは少し合っているような気もする。

「過去から逃げても追ってくる」

大好きな映画、ポール・トーマス・アンダーソン監督の「マグノリア」の中のセリフを思い出した。どんなに過去から逃げても様々な形でそれらは自分自身を追い詰め、逃れることは決してできない。

表面が変わっても、黒いカラスがついばんでくる。逃れることはできない。

 

逃げても無駄?

 

カアカアとカラスは鳴いて、僕はこの公園から去った。

ずっと曇っていた空が、この時晴れ始めた事を僕は気づかないようにしていた。

 

続く