さわやかトラウマ一人旅日記

音楽が好きな30代男がぼっちを極めるため、世界や国内をヤケクソ気味に一人旅をしたその記録です!

さわやかぼっち旅行記4.ミャンマー編  ポッパ山

岩と猿と真面目なミャンマー
翌朝、ポッパ山観光へと出かける。
「明日この車でまたキマスネ」とジニーさんと運転手の方が言っていたが、待ち合わせの時間、朝8時より早くホテルに着いていた。
車は大宮の荒川河川敷に打ち捨てたオンボロ車を再利用しているようなヤンゴンのタクシーと違って、決して新しくは無いのだが、とてもキレイにしている。ゲストに気を使って座布団のようなものもおいてある。クーラーは午後になって暑くなったら付けてくれた。
ポッパ山はバガンから片道2時間くらい。バガンは「ニャウン・ウー」という街の近くにあるのだが、「ニャウンウー」はわりと沢山の家や施設があり、わりと街らしいのに対して、ポッパ山への道はかなりのどかな田舎道を延々と進む。道路は比較的キレイに舗装されているのだが、道幅は狭い。沿線に建物もなく、ひたすら緑の光景と、少ない木がところどころ立って、牛がごろごろしてたりする。ほんとのどか!ちょっとくらい工場とか、そういう近代的なものがあってもいいと思うのだが(タイは結構ある)全く無い!よく田舎に対して「何もない」というが、日本の田舎なんてこれに比べたら何かはあると思う。本当に何もなくて感動する。美しい風景に感動するが、この風景もあと何十年かの命なんだろうかと思うと複雑になる。

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沿道も掘っ立て小屋のような商店?か何かがあったりして、みんなゴロゴロしている。そういえば車も全く走っていない。たまにすれ違うのは工事のためのトラック(◯◯建設とか日本語の表記が必ずある)と東南アジアおなじみの乗合タクシーのピックアップ、バイク、そして牛車!対向車が牛車!すごいな。
道路の幅が中途半端に狭いので、バイクや牛車を後ろから追い越す時は運転手がクラクションを鳴らすのがマナー?らしい。「いつの間に押してるの?」って感じでとにかく連打する。
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途中、ポッパ山旅行記によく登場する、ヤシの実を収穫して、加工をしている民家?というか掘っ建て小屋というかに寄る。
ひと通りヤシの実を牛が挽いて油を作るとこや、煮詰めてエキスを取り出すところなどを見学する。ジニーさんがわりとちゃんと説明してくれる。思ったよりも日本語がうまい。
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しかし僕はこの「いかにも観光」っぽい雰囲気があんまり好きじゃないというか、なんだか落ち着かない性分なのだ。「ヤシの実からお酒もデキマスネとても強いデスネ」とか説明してくれるのだが、僕は「ミャンマーって餃子っぽい食べ物はあるのかナ」なんて考えていた。ごめんなさい。
他にも観光客が寄る。同じホテルの隣の部屋のおそらく韓国人の若い3人組が来た。またいつの間にかもう1組カップルも着ていて、男性が現地化している(すごい焼けてた)ので気づかなかったのが、女の子はオシャレな格好をしていたので日本人だと気づいた。
こういった観光スポット恒例のおみやげ売り込みのところにやってきて、ヤシの実のエキスとヤシの実の籠を持って「これとこれを組み合わせて商品展開するとイイと思いません?」とか僕に聞いてくる。こんなのどかな風景と「商品展開」という日本語にちょっとウケた。ちなみに売り込みは激しくなく、商品もとっても安いので、見学代と思ってヤシの実の何かを買った。
先にでかける僕に「良い旅を〜!」声をかけてくれた。「どうも〜お気をつけて」と言ったものの、「良い旅を」と声をかけてくれた時に、何て返すのが一番いいのか、と少し考えたけどわからなかった。

 

道中にはいくつか村がある。これまた殆どが葉っぱで出来たような素朴な建物の村だった。もしかして電気も取ってないんじゃと思ったけど、電柱があったので、きっとあるんだと思う。葉っぱで出来た家の軒先、大きな木に吊るしたハンモックで寝ている人。同じ地球に生まれて、自分とは全く違う人生を送る人。でもどちらの方が幸せで、どちらの方が恵まれているかなんて、誰にもわからないし、それは誰にも決められない。
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「ポッパ山に観光」というが、本当の目的地は「ポッパ山の麓にある、岩の上にあるタウン・カラッ」が正解である。山道を超えると、観光地っぽい雰囲気になり、英語の看板や、建物がぐっと増える。そのうちに「地球の歩き方」で見たタウン・カラッが見えてきた。
写真撮影ポイントになると「降りて写真撮ってクダサイネ」と車を止めてくれる。ジニーさんは何回もガイドで来ているらしい。白人のゲストも何組か撮影している。
あいにくの曇り空だが、タウン・カラッの眺めはやはり面白いな、と思った。巨大な岩山の頂上にある寺。「精霊ナッ信仰 」の中心であるらしい。確かにこんなシュチュエーションだったら大抵のものは神々しく感じて信仰を集めるかもしれない…というのは少し失礼か。
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岩を回りこむように頂上へは階段が続いている。その途中にはおみやげ屋があったり、休憩所があったり。
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評判通り猿がすみついていて、暴れまくっている。日本の観光地や動物園で見る猿より心なしか小さいような気がする。
猿は可愛くていいのだが、コンクリートで出来た階段の上に生理現象のものを残していく。ジニーさんが気をつけてください、そこにありますよ!と教えてくれる。外にしたらいいのに、わざわざ通るようなことでしなくてもと思うと、突然にキレイになっていた。おじいさんが階段を掃除していたのだ。お寺の人かな?信者の人?感心だなあ〜と思うと「Donation Pleaese」(訳:金くれ)と言ってくる。こういう仕事らしい。猿と共存しているな。
タウンカラッの頂上はなかなか遠い。何度も登っている、昨日も登ったというガイドさんも息もきれぎれである。

 

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ナッ信仰の中心である女神さま。名前聴いたけど忘れてしまった。。。すみません。悲劇的な結末を迎えた結果、ここで祀られるようになったらしい。ミャンマーの寺院では後ろに電球がある場合が多いが、あれは後光を表しているらしい。電球、じゃないんですね!後光ですね失礼しました。
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頂上に着くと、いろいろな要素が入り混じったカオスな寺だった。ナッ信仰、そして仏教、そしてボー・ミン・ガウン
1950年代にここポッパ山で暮らしていた実在の僧で、とてもとても凄い人で今でもすごく人気らしい。
何がどう人気なのかはわからないが、本当に人気らしい。タバコとバナナが好きだったようで、像にもタバコを加えさせた痕がある。ちょっと焦げてるような・・・
感心したのが、誰もいないようなところにも、高額な紙幣がそのまま貼り付けてあるということ。「盗んじゃう人いませんか?」とジニーさんに聞くと「まあ見ている人がいますから」と指をさすが、どうも見ていないし、どうにでもなりそう。
どの部屋にいっても、お供えの紙幣が「どうぞ」って感じで置いてある。日本でも神社のお賽銭泥棒は最上級の「バチあたり」だが、こちらではもっともっと凄いバチあたり具合なんだろう。こんなところにミャンマー人の信心深さを感じた。

 

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これが「ポッパ山」 このあたりで一番高い山(1800メートルくらい?)だけあって、頂上にはアンテナが沢山あるらしい。
若い学生風の人たちが山をバックに写真を撮っている。今日は土曜日だからミャンマー各地から人が集まって着ているらしい。そういえば結構地元の人達ではなさそうな、旅行者の人が多い。「あの人達が何を言ってるかわからないですね。彼らは自分と違う民族ですね」とジニーさんが言う。「彼らはロンジーを穿いていないですね」そういえばミャンマーの来てから男性が巻きスカートのロンジーをみんな穿いていてビックリした覚えがある。
「違う民族?」「そうですね。たぶんシャン族ではないでしょうか」シャン族はシャン州に住む、少数民族だけど、割りと多いほうの少数民族。ミャンマーは日本と違って多民族国家なのだ。「日本は民族はほとんど一つですよ。アイヌという人たちもいますがとても少ないですね」「ホントですか」日本は単一民族がすぎて、「民族」という概念自体が忘れ去られているといっても過言では無いなんて、信じられないんだろうな。
シャン族の若者は頂上で気持ちがよくなったのだろうか、ペットボトルをエイっとそのまま投げ捨てた。
僕とジニーさんは顔を見合わせて、困ったもんですね、という顔をした。