北海道逃避行2013 その6 朝市と函館市立北洋資料館
観光客を「朝市」
観光地の「朝市」は素直に叙情を楽しむべきなのがマナーとはわかっている。しかし、待ち構えている地元の皆様の中に入っていくと、市場の人たちに品定めされ、獲物ととして捉えられたような、まるで網の中の魚にでもなったような気分になる。続いて交渉という競りに掛けられる。そして捉えられて捕まえられて糧にされる。やっぱり観光客が「朝市」で取引されている!なんて考えてみた。
というわけで、朝から海鮮丼は辛いな〜ということで殻付きウニとホタテを…。味は勿論おいしい。でも朝に食べる意味ってあんまり無いよな〜 夜でよくね????
一番感激したのがメロン!北海道の観光地の至る所ではカットメロンが売られている…ということはこの時はよく知らなかったんだけど。でも滅多に食べられない!と思い早速夕張産らしいメロンをいただく。たぶんこれで300円くらいかな?もっと安かったかも。とにかく甘くてウマー!
同じ店で生メロンジュースも売っていた。ジューサーには「このメロンジュースは100%果汁です!!!」と物凄く勢いのある文字で張り紙がしてあったので、その勢いに負けてジュース200円も買って飲んでみた。
確かに濃厚かつ自然な甘みで超美味しかった!毎日飲みたいよ〜
朝市を抜けて適当に歩いていると「函館市まちづくりセンター」の看板で「電動アシスト付き自転車レンタルあり」とのこと。いいじゃん!と思いさっそく貸出を希望する。一日1500円だって!めちゃくちゃ安い♪
電動アシスト付き自転車に乗ったことが無いと係のお姉さんに伝えると、親切に乗り方を教えてくれた。MAPもくれて本当に親切!日本って最高〜♪
この日は天気もよくこの近くにある函館の元町エリアを元気にサイクリングした。ここはまたゆっくり明日に散策する。せっせと自転車を漕いで五稜郭エリアへ…。
函館市北洋資料館
事前にリサーチして、面白そう!行ってみたい!と思って来てみたのが五稜郭のすぐ近くにある函館市北洋資料館。建物は音楽ホールと兼ねているらしく、入り口には高嶋ちさ子のコンサートのポスターがあって、「てめー呑気に旅行なんかしてんじゃねーよ!このプー野郎!アタシは必死で働いてんの!」と罵倒される妄想などをしてみる。
ここは函館市北洋資料館は、函館の礎である漁業に関する資料と、北洋全体の漁業についての貴重な資料を集めた場所である。
入場料200円を払いつつ中に入ると、いきなり大きなホッキョクグマの剥製が!
とても立派で優しい目‥。
こちらも剥製!大きなトド!歯とかリアルで面白いです。北洋資料館の中の方がひとつひとつ説明してくれてありがたい!というかたぶん客は僕一人でした。資料館の中の方と警備員の方が常にピッタリついて、色々説明や気を使ってくれました。
北洋漁業の基本、ということでいわゆる近代以前の北洋民族毎の獲物、それに合わせた漁業の内容なども学ぶ事ができました。北洋の民族って謎が多いらしくて興味惹かれますよね。過酷、と簡単に言うには厳しすぎる環境の中で、長い歴史を生き抜いてきた彼ら。アイヌ民族はもちろん、アリューシャン列島に住む北方民族やイヌイットに思いを馳せます。
貴重な資料!これは江戸時代初期の北海道の地図で、当時は測量などが無かったので、めちゃくちゃ(笑)左には謎の島(奥尻島では無いらしい)があったり、どこがどうなのかさっぱりわかりません!左上の大陸っぽいのは樺太らしいです。
これまた貴重なもの!択捉島でロシアとの境界線において実際に建てられていたもの。そこの様子を描いた浮世絵も。歴史を刻むものが残されているなんて本当に素晴らしいですね。
江戸時代以降から現代までの北洋漁業を学ぶコーナーでは、実際の北洋漁業の船を体験できるコーナーがあります。この中に入ると荒れ狂う海にいるかのように揺れます。
前へ後ろへ結構揺れてます。この中で何ヶ月も仕事して過ごすなんて過酷だなあと実感。
いわゆる「蟹工船」の戦後のもの。小林多喜二のプロレタリア文学な頃は本当に厳しく辛い労働環境で生命を軽視していたと捉えられても仕方が無いものだったらしいが、さすがに戦後は待遇を含めていろいろ改善したとのこと。よかったです。
その他、捕鯨コーナーもあり、捕鯨の仕方や実際に使うもの、あとは昭和初期の頃の実際の捕鯨を模様を残した貴重なフィルムを観たりしました。
最後の締めはパネルで色々な写真とアナウンスが流れて…。北洋漁業の今後の課題や未来についての内容です。ウーン勉強になりました!
朝市に来てウヘラウヘラ食べてるだけじゃなくて、その物が何処から来ているか‥どのような歴史を経て今日に至ったのか。知ることができてよかったです。
ああ、僕ってなんて知的なんだ・・・!!!
うわ、本性出しちゃった><
というわけで、この後は一旦五稜郭を後にして、温泉街をなんとなくウロウロしたり、美味しい蕎麦を食べたりして、また五稜郭に戻った
続く。
北海道逃避行2013 その5 函館へ
完全に満たされた!愛が溢れそれが受け止められてまた愛が返される!孤独なんて存在しない!永遠に繰り返される愛!全ての欲求は満たされて将来的な不安なんて微塵も存在しない!息をすると幸せだけで満たされる!私は完璧に幸せである!私は完璧に幸せである!私は完璧!完璧に幸せ!ああああ!!!!!!!!!
あっ!
起きた。パコホテルジュニアすすきのだった。夢だった。よくわからない。夢といえるのか?全身に力が入っている。良い感じでは無い不快な気分である。
よくわからない、嫌な夢。悪夢だ。
悪夢…。
どっちが悪夢?
今日は函館に行く。特に理由も無く、「札幌の次はなんとなく函館かな〜」という単純な発想だ。ここで「知床に行こうかな」とか「網走に行こうかな」とか思っておけばよかった。結果としてここで函館を選んだことで、今回の北海道旅行は一番単純な観光コースを踏襲することになった。まあーそんなもんだろう。
既にインターネットからバスとホテルの手配は済んでいる。13時くらいにバスが札幌を出て、17時くらいに函館に着く便。地図を見てわかってはいるけど、北海道は広いので時間もかかる。
パコホテル様でチェックアウト時刻ギリギリまで温泉にてダラダラする。
ほんと最高なパコホテルジュニアすすきの!また泊まりたい。笑顔でチェックアウト。お昼も近くなったので、札幌名物のスープカレーを食べに行くことにした。
大通公園近くの「カレー・ディ・サヴォイ」でホワイトアスパラガスのカリー。
Sexy Zoneのマリウス葉君がホワイトアスパラガスが好きだって言ってたのを思い出して、これにしてみた。写真撮ってください!といわんばかりの完璧な盛り付け…!
スープはあれ?薄味?と思いつつも、よく味わうと辛さともう1つしっかりとした旨味のハーモニーが!スープはかなりこだわっていると店内のメニューにも書いてありました。
この日、札幌といえどもかなり暑くて、カレー日和だなあなんて思っていたんだけど、食べやすくて、味の濃い野菜ともマッチして、するするーと入っていった。美味しい!
この後バスに乗って函館へ。しばらく寝ていたのだが、目を覚ますと見渡す限りの北海道の大自然!そういえば新千歳→札幌と街なかの風景しか見ていなかった。これが北海道なんだと認識する。
途中のサービスエリアもとても雄大!どこまでがサービスエリアなんだろう…。
函館ブルース
高速から函館市街へ降りると、渋滞なんかもあったりして、結構発展している印象だった。駅前もバスが降り立ったところは栄えているように見えたのだが、ホテルへの歩く駅前商店街の寂れっぷりはやはり地方の現実を感じさせた。観光都市で大きなイメージだったのだけれども・・・。翌日わかったのだが、函館の街は人口の割に市街の規模が広く、広い範囲で市街が広がっている。駅前だけでなく、五稜郭近辺も少し発展している。一箇所への集中では無くなった結果のこの駅前なんだろう。
B級グルメ好きとしてはかかせない!名物「ラッキーピエロ」!!
店内はかなり繁盛していて、市内にも沢山支店があるらしい。地元の人に愛されてるんですね。
頼んだのは確か1番人気のメニューを集めたNo.1セット的なもの。
売りのチャイニーズチキンバーガーにポテトに烏龍茶のセット
あの岸朝子先生(懐かしい)が五回も食べた!と店内の宣伝ポップに書いてあった看板メニューのチャイニーズチキンバーガーは、要するに油淋鶏的なものにマヨネーズかけてパンに挟んだ感じ。
うーんまあまあおいしゅうございました。実際カレーやらパスタやらメニューが山のようにあってそちらの方が美味しそう。ポテトはホワイトソース的なものが掛けられていて、なかなか美味しかった。
何かを超越している凄い内装!
よくわからないけど、一貫した美学を感じさせます。魔女狩りナイト…。
全く知らなかった函館ラーメン。とんこつベースながら、とにかくあっさりしているのが特徴らしい。スープが透明だけどあっさりしているけどコクはあり。美味しい。
この店はどこだっけな…店名を忘れてしまった。
「函館ラーメンおすすめMAP」みたいなページがあってそこを頼りに行ったんだけど、2件程閉店?または休みだった。こういう事が北海道では凄く多かった。旅なので2度の訪問も無いし、たまたま休みなのか、もう閉鎖したのかはわからない。
まあご縁が無かったということか。ご縁が無かった…嫌な言葉だ。
続く
北海道逃避行2013 その4 名曲喫茶ウィーン、札幌の夜
モエレ沼公園に行く途中に久しぶりにTwitterに書き込んだのですが、情報くださいなんて適当な事書き込んだら、何と反応が頂けて、名曲喫茶ウィーンっていうのが札幌だと面白そうですよという情報が!有難い。何でも発信してみるもんですよね。調べてみたら、確かに面白そうだが、閉店が18時というクラシックな感じなので、どうしようかなと思ったが早速行く事にした。
元に着た地下鉄駅まで戻るバスの便。中学生か高校生かわからない学生達が乗り込んでくる。田舎の中高生。僕だって今も昔も田舎の中高生のまま。何も変わらないのに。だからダメなのか…。
乗る時にバスの「整理券」を取るのを忘れた。バスというのは2種類あって、乗る場所で運賃が変わるバスと運賃が変わらず均一なバス。前者は整理券を取って、それを担保に運賃が変わり、番号を見せて値段を払う。後者はいわゆる「前乗り先払い」になることが多い。
このバスは運賃が乗る場所で変わるタイプ。本当の運賃は400円なのは知ってるから、運転手さんに言えば大丈夫かなあと考える。しかし、運賃表をよく見ると「整理券なし」みたいなカテゴリに少し高くなった運賃が書いてある。
整理券が無いペナルティの値段込で別カテゴリが設定されているのか?少しわからなくなる。しかし、小さい事だからどうでもいい、運転手さんに話せばいい。
終点の駅に着いた。大量の中高生も降りる。席を立つと目に入ったのは、「2」と書かれた整理券だった。それはちょうど自分が乗った運賃が書いている整理券だった。あれ?取ってた?全く覚えてない。確か隣の席には誰にも乗っていなかった。とりあえず拾って、平和にバスを降りた。
すすきのと大通公園の間に、横に広い一本道のアーケード街の「狸小路」がある。アーケード街というのは名古屋の大須や長崎の浜町ように多くの道があるタイプと、一本道だけに長くある場合があって、こちらは一本道。アーケードの横も大都会で、住み分けができているのか、繁栄しているように見える。地元の人が勿論多いが、観光客も多く、特に台湾の方たちと思しき人達がとても多い!
名曲喫茶ウィーン
そんな狸小路、道毎に区分けされて「狸小路○丁目」みたいな感じになっていて、最後の狸小路の最後「狸小路7丁目」に目的の「名曲喫茶ウィーン」はある。
綺麗なアーケードという印象だったのに、狸小路7丁目はいきなりボロいアーケードになって、この看板もちょっと雰囲気が違う!
明らかに違う!何かが違う!しかし中にある店は、どれも健全で面白そうな飲食店や昔からの物を売る印象の店が多くて、こちらの方が良いという感じ。チェーン店は見受けられない。
※写真にエフェクトがかかっているのは演出ではなく、ピンボケの誤魔化死です!
その一角に地下への「名曲喫茶ウィーン」の入り口を告げる看板が!
さっそく降りる。
あまり広くない空間で、古いクラシックな内装の空間だった。「いらっしゃいませ」と女性の店員さんが声をかけてくれる。キョロキョロしていたので明らかに初めて来た客だとわかっただろう。大量のレコードがカウンターの向こうに見える。
お客様方は皆一人で、4人がけか2人がけの椅子に、スピーカーの方向に向かって座っている。僕もそうする。スピーカー2列目の席。
中の画像は許可を得ていないので、控えますが、他のブログさんに写真が載ってたりするので興味があれば検索してみてください。
450万円ほどするらしい大きなスピーカーや高級アンプが凄い迫力で存在を誇示している。これがピュアオーディオの世界?とアイスコーヒーを頼む。流れている音楽はチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」の第2楽章。カラヤンの写真がアンプの上に置いてあって、あれがジャケットかな?と思ったけどよく見ると単なる肖像だった。カラヤンがお好きなんですね!
あらゆる交響曲の中でも一番暗くて救いがない事で有名なチャイコフスキーの悲愴!この2楽章も「がんばったけどダメだった(笑)」みたいな悲愴感があるような気がする。悲しい…
巨大なスピーカーからは音量は大きい筈なのに、コンサートホールでオーケストラが目の前で演奏しているのと変わりない音量という感じで、自然に音楽が聴こえる。音質も素晴らしい。イタリアの素晴らしいホールで聴いたオーケストラの音色を思い出した。
曲はそのまま最終楽章まで演奏した。明るく発狂した第3楽章から、絶望の遺書のような第4楽章…。暗い!そんでもってこの曲作ったあとに謎の死…!不吉…!いや〜名曲ですねえ。チャイコフスキーは好きです。
なんて事を考えていたら、曲が終わってブラボーという拍手が。ライブ盤だった。次はモーツァルトの交響曲が流れだした。
他の皆さんに習って、僕も読書をしてみる。手元にあったのは何故これになったのかわからないけど、基本ということで。
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人生に目的なんか無い!
レジャーの幻想に囚われるな!
しばらく聴いていたらまだ17時過ぎだったけど客の数が少なくなってきた。そろそろ出て行くことにする。素晴らしいところだった。帰る頃にはオーナーらしき方がいた。
高田総統の思い出
続いて、食べてみたかったジンギスカンに行ってみることにした。ある店に行ってみたところ、予約でいっぱいということで、近くの某有名店に…。
美味しい。美味しいのですが、自分の思い描いていたものと違う…。
美味しいジンギスカンといえば、昔…2007年頃に渋谷の円山町クラブエイジアの裏にあった、高田延彦が経営していた「モンゴリアン・チョップ」ですよ!
あの店は確か味付きのジンギスカンで、何種類かあって、美味しくて結構通ったのに(本人にも会った!)潰れちゃったんだよな〜 あれを想像していたのに、これは味が付いていない「生ラム」らしい。よくも悪くも癖が無くて食べやすいんだけど…。また食べてみよう。
夜、気温と湿度
この日の札幌の夜は雲のない空に、高く無く低くも無く、湿度も快適で、外を歩いているだけで多幸感に浸れる素晴らしい天気だった。
終わりを決めていない旅の夜。行くあても無くしばらく彷徨う。
こういう心地良い時に途切れてしまったら、なんて都合が良いなんて考えるけど、そんな事も無く容赦無く続く事に感謝しなくてはいけない。
北海道逃避行2013 その3 人工楽園モエレ沼公園
憧れの場所
もうどのくらい前に行ったのかは忘れてしまったが、東京都現代美術館でイサム・ノグチ展があり、友人に誘われて行ってそれなりに感動したのだが、その時に「札幌にイサム・ノグチが設計したモエレ沼公園というのがある」というのを知った。
写真やHPで見て「うわ〜行ってみたい」と思っていたのだが、札幌に行く機会が無かったため、ずっと思っているだけだった。
札幌に行くと決まった時に何より先にここに行くことは決めていた。というわけでパコホテルで朝飯、朝風呂を決めて万全の状態でモエレ沼公園に向かった。
最寄りの地下鉄の駅からバスで25分ほどかかって、公園の入り口まで着いた。
帰りのバスの時間を見ていると、同じバスに乗っていた中年の女性が、「大きな噴水があってそれが凄いんですよ!私はテレビをそれを観て、生で見たくてここに来たんです。確かもうすぐ始まる時間なんですよ」と教えてくれた。
そういえば海の噴水というのがあった。ちょうどその時間に来れたなんてラッキー!
園内は広いということでさっそくレンタサイクルを借りる。料金はとっても安くて2時間200円。返す時に2時間超えてしまったけど、優しいおじさんが「いいよいいよ」と見逃してくれた。北海道いいところ!
遠くに見えるのは、この公園の一つの象徴である「ガラスのピラミッド」
少し見つつ、早速「海の噴水」の時間が近づいていたので、そちらに移動する。森に囲まれた中に巨大な噴水とおぼしき空間がある。
海の噴水
その大きさは親子の方や木との遠近法でご理解いただけるだろうか。
海の噴水はなんと40分の大作!ただし長さは感じませんでした。
レスピーギの交響詩「ローマの噴水」の第2楽章「朝のトリトンの噴水」がスピーカーから流れ初めて噴水スタート!最初は最大25メートルにも及ぶ大きな「ビッグワン」まさに水の彫刻!
その次は海の波を表現した「ビッグウェーブ」
写真だと迫力が伝わらないのですが、円の中を徐々に波が荒れ狂い、円の周りに海とそして波が形成されていきます。蠢く波を眺めていると、その動きに生命を感じます。たまーに波が葛飾北斎の有名な「富嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏」を彷彿とさせる形になりました。ドビュッシーの交響詩「海」のインスピレーションにもなった、海の絵…。
この「ビッグウェーブ」が一番長かったですが、ずっと眺めているとそのループが心地よくあっという間に時間が過ぎていきました。
ビッグウェーブは止み、穏やかになると水は引いていき、続いては細やかな「フォグ」へ。
最後はフォグと合さって「アーチ噴射」でラスト。これまた写真だと迫力が伝わらないのですが…。見事で圧倒されました。いやー素晴らしいですね。もしかしたら見逃していたかもしれないので、バスで一緒になった女性は感謝感謝です。
ちなみに終演を告げるテープでは、同じく交響詩「ローマの噴水」の第4楽章が流れてました!センスいいですね♪
プレイ・マウンテン
海の噴水を見終わった後はとりあえず園内を自転車で散策しました。
思った以上に園内は広大で、そして整然として、思っていたとおり「不自然」さも感じました。ここはゴミの埋立地。人間の生きていた結果にもたされた物の上に建てられた人工的なもの。自然をモチーフとして、設計されたものは単なるごまかしではない、独特な空間。とても面白いし、こんな所は他に無いと思う。
公園のハイライトの1つ「プレイマウンテン」
小高い丘へ通じる道。その曲線。この着想は公園の話が出るかなり前の1933年にはイサム・ノグチの中にあり、「遊び山」として表現された。それから長い時を経て、ここに表現された。しかし彼は完成された実物を見る前に亡くなってしまった。
「プレイマウンテン」という概念は彼の創作にとって、重要なモチーフだった。具現化されたものを見る前に無くなった、と言うことは創作家にとって、皮肉ともいえるが、もしかしたらそれでよかったのもかもしれないとも考えながら、坂道をゆっくり登った。
プレイマウンテンの頂上から。見えるのはもう1つの頂点「モエレ山」結構高くて、登るのは諦めた><
この円形の森の中に先ほどの「海の噴水」がある。この見事な統制された自然!
自然が不自然に利用されて、それが美しい!素敵な空間だと思う。
こんな感じで、イサム・ノグチデザインの遊具が至るところに置いてある。野ざらしなので仕方が無いけれど、あまりメンテンナスされているとはいえず、ところどころ痛みが激しくて寂れた印象を受ける。なんとかならないものだろうか。
ガラスのピラミッド内には、イサム・ノグチの資料館や、その他展示やイベントスペースなどがある。結婚式用の撮影なのか、衣装を着たカップルが撮影をしていた。幸せそうでとにかく疎ましい(笑)見難い現実である自分を見せつけて嫌がらせしてやろうと思い、撮影を来にせず見学に集中した。ごめんなさい…w
特に面白いと思ったのが、エレベーター。これももちろんガラス。全4階しか無いので短いが、乗ると宙に浮いているような感じになる。高所恐怖症の人は辛いかも!
イサム・ノグチの資料館は、生涯に関して説明したパネルや、雑誌のコピー、写真集やその翻訳など。全く興味無さそうな学生達が流れで入ってきて、作品に寝転がったり、知り合いの弟が最近どうのこうのなどおしゃべりをしながらダラダラしていたら、中の人のお姉さんに怒られていた。札幌の学生の知的レベルが心配…。
過去から逃げても追ってくる
何事も美しいだけでは済まされないのがこの世の中。
モエレ沼公園をひと通り歩いて、気づいたこと。とてもとてもカラスが多い!!!
カラス天国の東京新宿区からやってきた自分がそう思うのだから、間違いないだろう。ここまで広大で芝生が広がる公園は都内には無いけれども、常に大量のカラスがここにはいて、「海の噴水」では観客の荷物が襲われていたりした。
園内は清潔で、ゴミもない。何故こんなに奴らはいるのか?
カラスが地面に向かって啄む所を見た。この場所が過去、カラスの好物そうなゴミの埋め立て地だということが関連しているのか?
今は美しい芝生と木とオブジェで統制されたもので表面が覆われたこの公園、しかしカラスにとってはお宝のゴミへの入り口である事は変わらないのか?もうかなり前の話なのに。動物の本能がそうさせるのだろうか。
しかし、不自然ともいえるこの「彫刻」である公園とカラスは少し合っているような気もする。
「過去から逃げても追ってくる」
大好きな映画、ポール・トーマス・アンダーソン監督の「マグノリア」の中のセリフを思い出した。どんなに過去から逃げても様々な形でそれらは自分自身を追い詰め、逃れることは決してできない。
表面が変わっても、黒いカラスがついばんでくる。逃れることはできない。
逃げても無駄?
カアカアとカラスは鳴いて、僕はこの公園から去った。
ずっと曇っていた空が、この時晴れ始めた事を僕は気づかないようにしていた。
続く
北海道逃避行2013 その2 寿司で自分を取り戻した札幌
自分を寿司で取り戻した
初回がかなりダークwだったので、この人大丈夫?と思った方もいたと思います。まあ〜あまり大丈夫じゃなかったのですが、この後早速立ち直ります。
新千歳から札幌まで、結構遠い。初めて来る街。知らない街。何もかも忘れられるような気がする。逃げてきた。でも誰も咎める人もいないし、悪い事もしていない。少し気持ちが落ち着いてきた。何か食べよう!
北海道といえば海産物だ!早速iPhoneで検索して適当な店を決める。札幌駅の駅ビルにある「根室花まる JRタワーステラプレイス店」回転寿司だけど凄く評判がいい。行列ができてるらしいけど、時間はたっぷりあるし、問題ない。行ってみるとやっぱり行列。しかし1人の客は多くなく、前の1人客が帰るとすぐに席が空いた。
席に着くと、美人な女性の板前さんが「いらっしゃいませ!担当させていただく○○です。」と笑顔で挨拶してくる。後日行った有名な回転寿司チェーン「トリトン」でも似たような挨拶があったけど、北海道の回転寿司はこれが普通なのか?
ふざけた注文の取り方をする「天下寿司 新大久保店」のクソオヤジとは大違いだ!
寿司はいくつか回っているが、紙で気になるメニューを注文する。
これは「時しらず」という鮭の寿司。鮭の旬では無い今の時期に捕れるものらしい。こんなメニューは東京の回転寿司には無いよね〜食べて見ると、普通の鮭には無い脂の乗りと濃厚な風味!しかし臭みもない!ウマーイ!
回転寿司に出てくるようなニセのうにってあんまり好きじゃないんだけど、東京のアレな回転寿司ではまずおめにかかれないクオリティ。これは本物だ!その他ホタテは分厚くふわふわでとろけるし、どれも最高にうまい!
いつも回転寿司の締めは海鮮系の汁物と決めていてるので、この日も確か北海道で撮れたというさんまのつみれ汁をオーダーする。このつみれの鮮烈な味!大葉やゴボウの風味と相まって、まるで舌を刺すような旨味が!最高に美味だ!
満足満足!あれだけ落ち込んだ風だったのに、寿司程度ですっかり立ち直りました!
なんて単純!まあそんなもんでしょう。浮き浮きして札幌の街に飛び出しました。思ったより少し暑いけど東京のような灼熱地獄とは大違い!今夜のホテルはすすきの。どれくらいの距離があるのかはわからないけど、札幌駅から歩くことにした。
札幌の街は整然としていて、活気があった。さすがの大都会。通りすがりの会話で「今日は暑いね〜」なんて会話が聞こえる。やっぱり札幌にしては暑いのか。この程度で暑いなんて甘え!なんて思ってみる。みんなここで生活している。僕にとっては非日常。旅がやっと始まった気がした。
パコホテルジュニアすすきの
今日のホテルは「ホテルパコジュニアすすきの」http://www.hotelpaco.com/susukino/
安宿にするつもりが、東京であまりに憔悴していたため、静養を兼ねる、ということにして、札幌の最初の2泊は館内施設が充実していそうなところにした。「パコ」なんて可愛い名前だが、北海道の主要都市には必ずあるホテルチェーンらしい。すすきののパコホテルは天然温泉があってそれが売りらしい。また朝食も自慢でとても美味しいらしい、実際美味しかった!高級ホテルの定番の「卵料理サービス」があったりして感心した。受付にいそうなお姉さんにオムレツをオーダーしたところ、見事な焼き具合のオムレツが出てきて感心した。
部屋はちょっとクラシックな感じだったが、それをフォローするかの如く色々な物が置いてあった。なんといっても天然温泉がよかった。
室内には浴槽が2つ。温泉の泉質がなんだか独特で気持ちいいし、露天風呂にある「寝湯」がよかった。石でできた立派なベットにうすーくお湯が貼ってある。背中が凝りやすいタイプなので、横になると背中が暖まって気持ちが良い。露天風呂なので空も見える。もう夕方の空色になっていた。
寝湯の隣には岩に囲まれた浴槽と大型テレビがある。横になったままテレビを見ていると夕方のニュースで都内が猛暑であり、夜になっても危険な程に暑く、しかもその暑さはしばらく続く、というような事を延々と放送していた。
「ざまーみろ!バーカ!ケケケケ」
寝湯であたたまりながら、札幌の涼しい風を感じて僕は思った。小さい人間><
続く
北海道逃避行2013 その1 まえがき〜逃げる、逃げる。
逃げる!
細かい流れはあまり書きたくないが、受け止めきれない現実が、ある日突然自分に降りかかってきた。そんな時はどうするか。時間だけはたっぷりある。そうだ、逃げよう。ここではないところへ行こう。特に何も決めずに何となく放浪しよう。そんな事ができるチャンスはあまり無い。まあ、予算(お金無い)と現実的な都合を考えて、放浪といっても1週間か2週間かそこらにはなるだろうけど。
明日から行こう。行ってしまおう。どこかに行きたいというよりは、ここに居たくないという気持ちが強かった。海外というのは勿論無理だ。いくらなんでも明日には旅立てない。帰りの日も決めたくなかった。片道航空券で入国するのも色々面倒くさそう。
国内‥となると、まだ行ったことがない沖縄なんて良いのでは?と考えた。
青い海に白い砂。南国の開放的な雰囲気。ゴーヤチャンプルにラフテーに沖縄そば。いいかも?と思って某予約サイトで宿を見てみた。ゲストハウスが安い!海外で少し泊まったことはあるものの、国内のドミトリ形式(2段ベッドで相部屋)のゲストハウスは経験が無い。
那覇のゲストハウスの宣伝写真には「アットホームな雰囲気でお待ちしています!」というキャッチコピーと共に、大体日焼けして、オシャレで若くて、キラキラした笑顔の若い男女が写っている。相部屋ということはこういう人たちと対峙しなくては、コミュニケーションを取らなくてはいけない。「あ、ちーっす 東京からッスか」と話しかけられて、どう答えたらいいか考える。死のう。もうだめだ。死のう。
というわけでゲストハウスは諦めるも、その他色々な懸念が噴出してきた。
まず暑い!その週の東京は外に出て3秒くらいで汗が吹き出す程に暑く、テレビでは熱中病予防の云々を繰り返し繰り返しやっていた。沖縄なんてもっと暑いんじゃないか。もっとカラっとしているかもしれないけど、第一安宿は一番暑い昼間には部屋を明け渡さなければいけない。慣れない炎天下の街をあてどなく彷徨うのは命の危険があるかもしれない。かといって、プールがあるようなリゾートホテルにも泊まれない。
あ、そうだ!北海道!早速「札幌 天気」で検索すると最高気温28度とかそんなものだ。これは決まった。涼しい北海道へ行こう。
エアアジアは神!
早速エアアジアで成田から新千歳空港までの航空券を見てみると、なんと明日のお昼出発の航空券が8890円だった!安い!成田までの交通費を考えても新幹線で名古屋へ行くより安い。行こう行こう。とりあえず札幌に二泊しよう。それからのことはそれから考えよう。こんな旅行ブログを書くくらいだから、結構旅慣れていると思われがちだが、人並みだと思う。そしてこんな自由な旅行も初めてなのだ。今まではきっちりきっちり、計画を決めて(ミャンマーとかそうしないと辛い)いたのだが、ここまで適当なのも初めてだ。
でも、国内だし結構いい加減でもなんとかなる。さあ明日は出発だ。でも僕の頭は確実に現実に虐げられて、旅行だというのに嫌なこと、思い出しくないこと、忘れたいことに支配されていた。
明日、札幌に行く。ホテルも適当に取った。それ以外何も考えていなかった。逃げる。逃げる。逃げる。そんな中では判断力でも鈍る。荷造りは服とスマートフォンの充電関係のみ。何を考えたのか、デジタルカメラも「いらない」と思って置いてきてしまった。というわけでいつにも増して写真が酷くなるのですが、許してくださいね><
出発
あまり旅行の当日になるとウキウキワクワクするタイプではなく、だるいな〜なんでこんな事計画しちゃったんだろう〜まじだり〜とか考えてしまうタイプなのだが、この日はそれすら通りこして、まるで警察に出頭する容疑者の気分だった。灼熱の東京の中で、無表情にひたすら自分の身体を引きずって、成田まで持っていった。心が死んでいたのだ。逃げる、逃げる。なんでこんな事になったのだ。いつも乗る方向とは逆の山手線に乗った。しかしもう終わった事だ。早く忘れたい。東京さよならさよなら東京。
成田に着いて飛行機に乗って新千歳に着くまで何も考えていなかった。逃げる人間に喜びも感傷も必要は無いのだ。
続く